ホーム長寿研究カロリー制限の抗老化効果を薬で再現──鍵を握る免疫タンパク質C3

カロリー制限の抗老化効果を薬で再現──鍵を握る免疫タンパク質C3

人間の老化は避けられない現象だと長く考えられてきたが、その前提を揺さぶる研究が進んでいる。最新の研究では、カロリー制限がもたらす抗老化効果の一部が、免疫タンパク質C3を介して生じている可能性が示され、厳しい食事制限を行わずに同様の効果を再現できる道が見え始めている。

動物実験では、摂取カロリーを減らすことで寿命が延び、健康状態が長く保たれることが知られている。しかし、極端なカロリー制限は感染への脆弱性や成長阻害など深刻な副作用を伴い、人間に適用するには限界があった。そこでイェール大学の研究者たちは、適度なカロリー制限を行った人々の血漿を解析し、7,000以上のタンパク質の中から補体系成分3(C3)が大きく減少していることを突き止めた。補体系は感染防御に不可欠だが、加齢とともに慢性炎症を促進する側面があり、C3の増加は老化の特徴とされる。

さらに解析を進めると、加齢に伴うC3増加の主要な供給源が内臓白色脂肪組織であり、そこに存在する加齢関連マクロファージがC3を産生していることが明らかになった。興味深いのは、体重減少量とC3低下に関連がなかった点だ。参加者は平均18ポンドの体重を減らしたが、C3の減少は体重の変化とは無関係であり、カロリー制限が脂肪組織に特異的な作用を及ぼしている可能性が示された。つまり、体重を減らさなくても、カロリー制限の生物学的メリットの一部を再現できる可能性がある。

この仮説を検証するため、研究者たちはマウスでC3の活性化を阻害する薬剤を使用した。その結果、加齢性炎症が減少し、カロリー制限の効果の一部を薬剤で模倣できることが示された。補体系は感染防御に不可欠であるため完全に除去することはできないが、過剰なC3活性を抑えることで老化関連炎症を軽減し、健康寿命を延ばす治療法につながる可能性がある。

現在、研究チームはFDA承認済みの阻害薬が同様の効果を人間でも発揮できるかを調査しており、老化を標的化できるプロセスとして捉える新たなアプローチが現実味を帯びてきている。

Scientists may have found a shortcut to calorie restriction’s anti-aging benefits

出典:ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2026/08/260826055508.htm

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用語解説

【補体系成分】

補体系成分とは、病原体を排除するために血液中で連鎖的に働く免疫タンパク質群のこと。約50種類のタンパク質が関わり、異物を検知すると次々と活性化する「カスケード反応」を起こす。中心となるC3が分解されることで炎症が誘導され、免疫細胞が呼び寄せられ、最終的には細菌の膜を破壊する。

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