近年、ゲームが認知機能に与える影響についての研究が進み、特にビデオゲームが注意力や認知能力を高める可能性があることが示されてきた。1時間のゲームプレイで注意力が向上するという報告や、シューティングゲームが認知機能を改善するという研究結果もある。高齢者においてはその効果がさらに大きく、脳トレアプリが軽度認知障害を予防する可能性や、3Dゲームが加齢による認知低下を逆転させる可能性まで指摘されている。
しかし、こうした知見の多くはデジタルゲームに関するものであり、カードやボードゲーム、クロスワードといった非デジタルゲームにも同様の効果があるのかは十分に検証されていなかった。
この疑問に答えるため、エディンバラ大学の研究者ドリュー・アルトシュルとイアン・ディアリー教授は、1936年生まれの1,091名を対象とした「ロージアン出生コホート1936」のデータを用いて調査を行った。参加者は11歳時に認知機能を測定され、その後70歳、73歳、76歳、79歳でも14種類の標準化テストで評価された。
研究者らは、参加者が70歳と76歳の時点でボードゲームやカード、チェス、ビンゴ、クロスワードをどれほどの頻度で遊んでいたかを尋ね、幼少期の認知能力、教育、社会階級、性別、活動量、健康状態などの交絡因子を統計的に調整した。その結果、70代でより多くアナログゲームを楽しんでいた人ほど、高齢期において認知機能を良好に保っている傾向が明確に示された。
具体的には、11歳から70歳までの長期的な認知低下が少なく、さらに70歳から79歳の間の認知低下も緩やかであった。アルトシュルは、人生を通じて活動的であることが高齢期の思考能力の維持に寄与する可能性を示す新たな証拠だと述べ、ゲームを始めることが認知低下予防の一助になると解釈できると指摘する。ディアリー教授も、知的活動や社会活動だけではなく、特定のアナログゲーム群が「わずかだが確かな」認知的加齢の改善と関連していると強調し、今後はどのゲームがより効果的なのかを明らかにする研究が必要だと述べている。また、身体的な健康維持や禁煙など、他にも認知的加齢を良好に保つ要因が存在することにも言及している。
デジタルゲームだけではなく、アナログゲームにも高齢者に対して効果がある事を示した研究結果だと言えそうだ。
Board games may stave off cognitive decline
出典:MedicalNewsToday
https://www.medicalnewstoday.com/articles/healthy/327153?utm_source=ReadNextRAAS
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用語解説
【交絡因子】
交絡因子とは、研究で本来調べたい要因と結果のあいだに入り込み、因果関係をゆがめてしまう第三の要因のこと。例えば、運動習慣と認知機能の関係を調べる際、教育レベルや生活習慣が影響していると、運動の効果が正しく評価できなくなる。交絡因子を統計的に調整することで、対象となる要因の純粋な影響をより正確に測定できる。
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