老化でT細胞の免疫力が低下する背景として、細胞内ポリアミンであるスペルミジン(SPD)の減少が重要であることを、研究チームは明らかにした。
若いT細胞に比べ老化T細胞ではSPD量が低下し、その結果ミトコンドリアのエネルギー産生や脂肪酸酸化が弱まり、免疫機能が落ちる。
老化マウスではミトコンドリア不全によりPD‑1阻害抗体が効かなくなるが、SPDを補充すると抗腫瘍免疫が回復した。
SPDは短時間でミトコンドリア機能を高め、脂肪酸酸化酵素MTPに直接結合して活性を上昇させることも判明した。
これらの成果は、老化による免疫低下の一因を分子レベルで示したもので、がん治療や免疫疾患の新たな治療戦略につながる発見と位置づけられる。
研究は2022年10月にScience誌で公開され、研究者は「老化と免疫低下の謎の一端を解明できた」とコメントしている。
スペルミジンはT細胞の脂肪酸酸化を直接活性化し老化による抗腫瘍免疫の低下を回復させる―スペルミジンによる脂肪酸酸化活性化機構の解明―
出典:京都大学



