加齢に伴う脳の炎症「神経炎症老化」は記憶力や思考力の低下を招き、認知症やアルツハイマー病の主要因とされてきたが、テキサスA&M大学の研究チームは、このプロセスが点鼻スプレーによって逆転し得ることを示した。
治療には細胞外小胞(EV)に搭載したマイクロRNAが用いられ、経鼻投与によって脳のバリアを迂回し、直接脳組織へ到達する。
投与されたEVは慢性炎症に関わる免疫細胞を標的とし、NLRP3インフラマソームやcGAS–STING経路などの炎症システムを抑制した。さらに、加齢で損なわれるミトコンドリア機能が回復し、脳細胞のエネルギー産生や情報処理能力が改善した。
行動テストでも記憶・認識能力の向上が確認され、効果はわずか2回の投与で数か月持続した。男女ともに同等の効果が見られた点も重要である。
研究は米国立老化研究所(NIA)の支援を受け、特許も出願済みで、将来的には認知症、脳卒中、加齢性認知低下の新たな治療法となる可能性がある。研究者たちは、脳の老化は必然ではなく、健康で賢く年齢を重ねる未来を実現できると強調している。
用語解説
【細胞外小胞】
細胞外小胞(EV)とは、細胞が分泌する直径50〜200nmほどの極小の膜状粒子で、内部にタンパク質・脂質・mRNA・マイクロRNAなどの分子を運ぶ“配送カプセル”のような存在。細胞同士の情報伝達を担い、炎症調整、免疫反応、組織修復など多くの生体プロセスに関わる。血液や唾液など体液中に広く存在し、近年は病気の診断マーカーや再生医療の新たな治療手段として注目されている。
Scientists say they’ve reversed brain aging with a simple nasal spray
出典:ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2026/05/260526022018.htm



