D+Q(ダサチニブ+ケルセチン)は老化細胞を除去する作用からアンチエイジング研究で注目されてきたが、新たな研究で脳に深刻な変化を引き起こす可能性が示された。
マウスに投与すると、神経細胞を包むミエリンが大幅に失われ、特に若いマウスで顕著だった。
ミエリンは電線の絶縁体のような役割を持ち、これが失われると神経伝達が乱れ、しびれや運動障害、認知低下につながる。興味深いことに、ミエリンを作る細胞は死んだのではなく、未熟な状態に戻っていた。
研究者は、薬剤が細胞のエネルギー供給を妨げ、細胞が複雑さを減らして退行したと考えている。また、脳の左右をつなぐ脳梁がほぼ消失するという深刻な変化も確認された。これらの現象は、がん治療で見られる「ケモブレイン」に似ているという。
一方で、この未熟化した細胞はMS(多発性硬化症)患者で見られる細胞と類似しており、ミエリン産生細胞が完全に壊れているのではなく回復可能な状態にある可能性を示唆する。
今回の研究はマウスと培養細胞に限られるが、当初は副作用に見えた現象が、将来的にMSなどの脳修復戦略につながる可能性も示している。
用語解説
【D+Q】
D+Qとは、ダサチニブ(D)とケルセチン(Q)を組み合わせた薬剤カクテルのこと。老化細胞(セネッセント細胞)を除去する作用があるため、アンチエイジング研究で注目されてきた。ダサチニブは抗がん剤として使われる薬で、ケルセチンは玉ねぎなどに含まれるポリフェノール。両者を併用すると老化細胞を効率的に排除できるとされるが、近年の研究では脳のミエリンを損傷させる可能性も指摘され、安全性の検証が課題となっている。
A Popular Anti-Aging Drug Combo Triggers Severe Brain Damage in Mice
出典:DISCOVER
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