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損傷で老化、反対側で若返り──脳卒中後の脳の意外な適応反応

脳卒中による脳の構造変化を老化の観点から分析した今回の研究では、損傷側の脳半球で老化が加速する一方、反対側の半球では逆に若返りのような構造変化が起きるという非対称的な現象が明らかになった。

重要な運動経路が損傷すると、損傷部位周辺では脳組織の劣化が進み、深層学習モデルによる脳年齢推定でも実年齢より高い「老けた」状態が示される。しかし反対側の未損傷領域では、特に前頭頭頂ネットワークにおいて予想より若い脳年齢が観察され、これは脳が失われた機能を補うために構造的な再編成を行い、老化の進行を抑えながら代償的なネットワーク強化を進めている可能性を示している。

研究はENIGMA(Enhancing NeuroImaging Genetics through Meta-Analysis)の国際共同データを用いて実施され、世界8か国34施設から集められた500人以上の脳卒中生存者のMRIを統合し、AIによる脳年齢推定を行った。大規模データを用いることで、従来の小規模研究では捉えられなかった脳老化の地域差や非対称性が明確に示され、慢性期脳卒中における「老化の再配置」という新たな概念が浮かび上がった。重度の運動障害を抱える患者ほど反対側の脳領域が若返る傾向が強く、これは脳が損傷による機能低下に直面した際、老化と可塑性のバランスを取りながら生存戦略として未損傷領域を活性化させていることを示唆する。

研究者らは今後、脳卒中発症直後から長期回復まで脳老化の推移を追跡し、老化の進行速度や若返りの度合いがどのように変化するかを明らかにすることで、患者ごとに異なる回復プロセスを理解し、老化の特徴を踏まえた個別化リハビリにつなげることを目指している。脳卒中後の脳は単なる損傷ではなく、老化と若返りを同時に進めながら再構築を試みる動的な臓器であるという新しい視点が示された。

用語解説

【前頭頭頂ネットワーク】

前頭頭頂ネットワークは、前頭葉と頭頂葉を結ぶ広域の神経ネットワークで、運動計画・注意の制御・空間認知・複数の情報を統合する働きを担う重要な領域群。動作を実行する前に「どのように動くか」を組み立てたり、周囲の状況に注意を向けたりする際に中心的な役割を果たす。

Stroke triggers a hidden brain change that looks like rejuvenation

出典:ScienceDaily

https://www.sciencedaily.com/releases/2026/03/260328043556.htm

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