大正製薬の研究は、肌老化の根本にある「細胞ダメージの修復力低下」と、その鍵を握るミトコンドリア機能に焦点を当てている。
ミトコンドリアは細胞のエネルギー供給源であり、網状のネットワークを形成することで細胞全体の機能維持を支えている。しかし紫外線や酸化ストレスによってこのネットワークは崩壊し、細胞はダメージ修復能力を失いやすくなる。
本研究では、ミトコンドリアに存在する酵素「マイトリガーゼ(Mitochondrial Ubiquitin Ligase)」が、このネットワーク再形成に不可欠であることが明らかになった。
正常な肌細胞では、ダメージ直後にミトコンドリアが一時的に分裂しても、数時間以内にネットワークが再構築される。一方、マイトリガーゼを減少させた細胞では、この再形成がまったく起こらず、ミトコンドリアが断片化したまま残ることが確認された。これは細胞の修復プロセスが根本から阻害されることを意味する。
さらに、加齢によって肌のマイトリガーゼ量が低下すること、マイトリガーゼが減少した細胞ではDNAダメージ修復力も低下することが既に報告されており、今回の結果はそのメカニズムを裏付ける形となった。
つまり、マイトリガーゼの減少はミトコンドリアネットワークの再構築不全を引き起こし、細胞ダメージの蓄積を通じて肌老化を加速させる可能性が高い。
これらの知見から、マイトリガーゼを活性化しミトコンドリアネットワークを正常に保つことが、肌老化を防ぎ若々しい状態を維持するための新たな戦略となり得ることが示唆された。
用語解説
【マイトリガーゼ】
マイトリガーゼ(Mitochondrial Ubiquitin Ligase)は、学習院大学・柳茂教授が2006年に発見したミトコンドリア外膜に存在する酵素で、ミトコンドリア内の不要タンパク質にユビキチンという目印を付けて分解を促す役割を担う。これによりミトコンドリアの品質管理が行われ、エネルギー産生や細胞機能の維持に寄与している。近年の研究では、この酵素が減少するとミトコンドリアネットワークの再形成が阻害され、細胞のダメージ修復力が低下し、肌老化が進行する可能性が示されている。
ミトコンドリア研究で新事実
~若返りの鍵「マイトリガーゼ」の減少が、細胞のダメージを修復するミトコンドリアネットワーク形成を阻害~
出典:大正製薬
