体内のエネルギー需要と供給の乱れは老化を促す要因とされ、特にミトコンドリア機能の低下はATP不足を招く深刻な問題となっている。
医生物学研究所の中臺教授らの研究チームは、この課題に対処するため、新規核酸プロドラッグ「proAX」を開発した。
proAXはミトコンドリア呼吸を高め、細胞内ATP量を短時間で大幅に引き上げる作用を示した。
ヒト線維芽細胞ではATP濃度が最大3倍に達し、エネルギーセンサーAMPKの活性化や脂肪酸酸化の促進も確認された。
活性酸素の発生が抑えられ、細胞の酸化ストレス耐性が向上する効果も観察された。
線虫への投与では平均寿命が24%延び、抗老化作用を持つことが実証された。
この成果は、老化に伴うエネルギー代謝低下という根本問題に対する新たな解決策を提示するものとなった。
研究チームは今後、マウスなど哺乳類での効果と安全性を検証し、創薬応用を目指す方針を示している。
研究内容は2025年6月、国際誌「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。
世界初のATPプロドラッグによる健康寿命延伸の新しい可能性―ミトコンドリア活性化によりエネルギー代謝不均衡を改善する生体エネルギー分子治療の提案―
出典:京都大学
