レチノイドは最も研究が進んだアンチエイジング成分で、コラーゲン産生を促し、シワや色むらを改善する一方、乾燥や刺激などの副作用が問題となる。
そこで、より穏やかな代替として植物由来のバクチオールが注目されている。バクチオールはインド原産のバブチの種子から抽出され、伝統医学で長く利用されてきた成分で、レチノイドと同様にコラーゲン産生に関わる受容体を刺激すると考えられている。老化の主要なサインであるシワ、肌の弾力低下、色素沈着に対して効果が期待され、敏感肌でも使いやすいとされる。
しかし、科学的根拠はまだ十分ではない。英国皮膚科学雑誌の小規模研究では、バクチオールがレチノールと同等に細かいシワや肌色を改善しつつ、皮むけやヒリつきが少ないと報告されたが、参加者は44人と少なく、結果の信頼性には限界がある。
別の研究では、バクチオール配合の洗顔料と保湿剤が敏感肌の高齢女性の肌の滑らかさと老化サインを改善した。また、バクチオール・メラトニン・ビタミンC誘導体を組み合わせたクリームでもシワや肌のハリが改善したが、複数成分が混在しているため、効果がバクチオール単独によるものかは判断できない。さらに、他の研究の多くは細胞や人工皮膚を用いたもので、人間の肌での実際の効果を評価するには不十分である。
一方、レチノイドは1980年代から数百人規模の臨床試験で老化改善効果が実証されており、科学的裏付けの量と質は圧倒的に高い。こうした背景から、研究者たちはバクチオールを「有望だが未証明」と位置づけ、さらなる検証の必要性を強調している。
総じて、確実なアンチエイジング効果を求めるならレチノイドが第一選択となるが、副作用を避けたい敏感肌の人や自然派志向の人にとって、バクチオールは刺激が少ない選択肢となり得る。ただし、効果の確実性はまだ低く、試す際の最大のリスクは費用面だといえる。
今後の研究が、老化に対するバクチオールの位置づけを明確にする鍵となる。
用語解説
【レチノイド】
レチノイドはビタミンA由来の外用成分で、最も科学的根拠のあるアンチエイジング成分の一つ。肌の細胞に働きかけてコラーゲン産生を促し、シワの改善、肌のハリ向上、色むらの軽減など老化サイン全般に効果を示す。一方で乾燥、赤み、皮むけなどの刺激が出やすく、使い方には注意が必要とされる。
Bakuchiol: Does it make skin look younger?
出典:Harvard Health Publishing
https://www.health.harvard.edu/healthy-aging-and-longevity/bakuchiol-does-it-make-skin-look-younger
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