ビタミンB12は極めて微量で足りるにもかかわらず、欠乏すると深刻な影響を及ぼす。
その歴史は100年前、肝臓食が悪性貧血を劇的に改善することが発見されたことに始まり、後にその有効成分がビタミンB12であると特定された。現在でも欠乏は一般的で、高齢者、ヴィーガン、ベジタリアン、胃酸分泌の低下や吸収障害を抱える人に多い。症状は疲労、息切れ、手足のしびれ、バランス障害、記憶力低下など幅広く、加齢と誤認されやすい。特に高齢者では胃酸の減少や自己免疫性胃炎が起こりやすく、B12吸収がさらに低下する。
従来、疲労は貧血が主因と考えられてきたが、近年の研究では、B12不足がミトコンドリアのDNAやエネルギー産生に影響し、貧血が明確になる前から疲労を引き起こす可能性が示されている。加齢マウスの研究では、B12補給がミトコンドリアの数や構造を改善し、老化に伴う筋機能低下の一因がB12不足である可能性も示唆された。
ただし、正常値の人がB12を追加摂取しても老化が逆転したり、エネルギーが増強されるわけではない。慢性的な疲労がある場合はまず原因を調べることが重要で、B12注射は欠乏が診断された場合に限り有効とされる。微量ながら重要なこの分子は、加齢に伴う細胞のエネルギー維持にも関わる可能性がある。
ビタミンB12が老化を止めるかどうかというのではなく、このビタミンが加齢現象の説明をより精密にできるきっかけとなるかもしれない。
用語解説
【悪性貧血】
悪性貧血は、ビタミンB12を吸収できなくなることで起こる重い貧血の一種。胃の自己免疫反応などで「内因子」という吸収に必要なタンパク質が作れなくなり、B12が不足する。すると骨髄で正常な赤血球が作れず、巨大で未成熟な赤血球が増えて酸素運搬が低下する。疲労、息切れ、しびれ、記憶力低下などが現れ、放置すると神経障害が進行する。治療にはビタミンB12の注射が有効とされる。
This common vitamin deficiency can mimic normal aging
出典:ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2026/06/260623083116.htm
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