最新の医学誌Nature Medicineに掲載された大規模解析研究では、血液中のタンパク質を詳しく調べることで、体のどの細胞がどれだけ老化しているかを推定し、その情報から病気のなりやすさや寿命を予測できる可能性が示された。
研究チームは6万人以上の血液を解析し、神経細胞や免疫細胞、筋肉細胞など40種類以上の細胞の「生物学的な年齢」を推定した。その結果、特定の細胞が実年齢より大きく老化している人ほど、アルツハイマー病やALS、肺がんなどの病気を発症しやすいことが分かった。
特に、脳のアストロサイトという細胞が極端に老化している人は、APOE4という遺伝子型を持つ場合、アルツハイマー病の発症リスクが3倍に増えていた。一方で、神経細胞や免疫細胞が若い状態を保っている人は、生存率が高かった。細胞老化が正常な人の15年生存率は約90%だったが、20種類以上の細胞が極端に老化している人では約34%にまで下がった。
研究者たちは、細胞ごとの老化度をまとめた「多細胞老化リスクスコア」も作成し、死亡リスクの予測に役立つことを示した。ただし、この研究は主に高齢の白人集団を対象としており、血漿タンパク質が細胞の状態を完全に反映しているとは限らないため、今後より多様な集団での検証が必要だとしている。
それでも、細胞老化を早期に把握できれば、病気の予防や治療のタイミングを改善できる可能性があり、将来的には血液検査によるリスク評価が医療現場で活用されることが期待されている。
用語解説
【アストロサイト】
アストロサイトは、脳や脊髄に存在する「神経を支える細胞」で、神経細胞が正常に働くための環境づくりを担っている。栄養を届けたり、老廃物を回収したり、神経伝達物質の量を調整したりと、脳の裏方として重要な役割を果たす。さらに、血液脳関門の維持や炎症反応の調整にも関わるため、アストロサイトが老化すると脳の働きが乱れ、アルツハイマー病などのリスクが高まることが分かってきている。
Blood proteins reveal which aging cells may raise disease risk
出典:NEWS MEDICAL
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