バル=イラン大学の研究は、老化が単なる摩耗ではなく、細胞内のDNAの配置変化という可逆的なプロセスによって部分的に引き起こされる可能性を示した。
研究者らは若齢マウスと老齢マウスの肝臓を比較し、老化がクロマチン構造を乱し、炎症遺伝子を過剰に活性化させる一方で、健康な肝機能に必要な代謝遺伝子の働きを弱めることを発見した。特にH3K9acというクロマチンマーカーが老化に伴う構造変化と強く関連していた。
だが、SIRT6というタンパク質を老齢マウスで増やすと、これらのクロマチン異常が若い状態へと大きく回復した。SIRT6はゲノムの秩序を保ち、炎症遺伝子の暴走を抑え、正常な遺伝子発現を維持する強力な保護因子であることが示された。
研究を率いたコーエン教授は、老化で乱れたゲノム構造がSIRT6によって“巻き戻される”と表現し、老化が従来考えられていたよりも可塑性を持つ可能性を強調した。
この成果は、老化の根本的な生物学的メカニズムそのものを標的とする「若返り生物学」の新たな方向性を示すものであり、組織機能の維持や炎症の抑制、健康寿命の延伸につながる可能性がある。
研究はまだマウス段階だが、老化の分子基盤を逆転させるという発想に大きな前進をもたらしている。
用語解説
【SIRT6】
SIRT6(サーチュイン6)とは、細胞の老化や代謝調整に関わるサーチュインファミリーの一種で、DNA修復やエネルギー代謝、炎症制御などに重要な役割を持つタンパク質。細胞内で遺伝子の働きを調整し、ストレス耐性を高める働きがあるとされ、長寿研究の分野で注目されている。SIRT6の活性が高いほど、細胞の健康維持や老化抑制に寄与する可能性が示唆されている。
SIRT6 protein could protect against age-related breakdown in chromatin, possibly help reverse aging
出典:PHYS ORG
https://phys.org/news/2026-05-sirt6-protein-age-breakdown-chromatin.html
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