高血圧治療薬として広く使われているリルメニジンが、老化を遅らせ寿命を延ばす可能性を示したとして、研究成果が Aging Cell に報告された。
線虫を用いた実験では、若齢・高齢のどちらに投与しても寿命が延び、健康指標も改善した。副作用は軽度かつまれで、抗老化候補薬としては異例の安全性を示した点が注目される。
研究チームは、カロリー制限がもたらす遺伝子応答を模倣する化合物を探索する中でリルメニジンを特定した。カロリー制限は代謝を抑え、細胞を傷つける酸化ストレスを減らすことで老化を遅らせるが、人間では効果が一定せず副作用も問題視されてきた。
今回の研究では、リルメニジンの寿命延長効果が nish-1 と呼ばれる I1-イミダゾリン受容体に依存することが示唆され、この受容体が長寿研究の新たな標的となる可能性が浮上した。
高齢化が急速に進む現代では、老化をわずかに遅らせるだけでも慢性疾患や死亡率の抑制につながるため、その意義は大きいと研究者は強調する。
既存薬を再利用して寿命と健康寿命を同時に延ばすアプローチは、老化研究の臨床応用を目指す「トランスレーショナル・ジェロサイエンス(老化研究の臨床応用)」において大きな潜在力を秘めている。実験動物で老化を遅らせられることはすでに多くの証拠があるが、リルメニジンの成果は、人間がより長く健康に生きるための新たな道を開く可能性を示している。
用語解説
【リルメニジン】
リルメニジンは、1980年代後半に開発された第二世代の中枢性降圧薬で、フランスの製薬会社セルヴィエが、従来薬クロニジンの副作用(眠気・口渇など)を減らす目的で研究を進めて誕生した。 イミダゾリンI1受容体を選択的に刺激する点が革新的で、これにより副作用を抑えつつ血圧を下げられる薬として評価された。Hyperium®、Albarel®、Tenaxum® などの名称で欧州やアジアで処方され、米国では未承認のまま現在に至る。
An anti-aging breakthrough? This widely used drug stuns scientists
出典:FUTURA
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