高齢者の股関節骨折には地域差があり、1987〜2007年の調査では関西〜九州で発生率が高い「西高東低」の傾向が示された。関連因子を分析すると、カルシウムやビタミンDよりも、特にビタミンK、なかでもK2の摂取量が地域差と強く結びついていた。
血中ビタミンK2濃度は納豆摂取量と相関し、納豆消費が少ない関西で骨折率が高いことも判明したのだ。
ビタミンKの摂取基準は成人で1日150μgだが、骨粗鬆症の予防には250〜300μgが推奨される。納豆は100gで600μg、ひきわりでは930μgものK2を含み、一般的な50gパック1つで十分量を満たせる効率的な食品である。
さらにK2は男性特有の加齢疾患にも関係し、ドイツの大規模研究ではK2摂取量が多い男性ほど進行性前立腺がんのリスクが63%低かった。K1には同様の効果は見られず、K2特有の作用と考えられる。
また東北大学の研究では、ビタミンKが精巣の炎症を抑えテストステロン分泌を維持する可能性が示され、男性更年期(LOH症候群)への効果も期待されている。
納豆にはアンチエイジング成分ポリアミン、とくにスペルミジンが豊富で、発酵食品の中でも突出した含有量を持つ。スペルミジンは細胞の老化抑制や炎症防止に関わり、ノーベル賞研究で注目された「オートファジー」を促進する成分としても知られる。
米国立老化研究所もアンチエイジングに寄与する方法の一つとしてスペルミジン摂取を挙げている。
さらにポリアミンは体内時計の乱れを修正する働きも報告され、加齢や生活習慣で崩れがちなリズムを整える可能性がある。
なお、納豆は健康効果が高い一方、ワルファリン服用者は摂取に注意が必要とされている。
40代以降は心身の変化が加速する時期であり、日々の食習慣が将来の健康に大きく影響する。朝食に納豆を加えるだけで、骨折予防、男性ホルモン維持、細胞老化抑制、体内時計の正常化など多面的な恩恵が期待できる。世界的にも注目が高まる納豆は、日本が誇るアンチエイジング食品と言える。
用語解説
【ビタミンK】
ビタミンKは血液凝固を助け、骨の形成を促す必須ビタミンで、K1は野菜、K2は納豆などの発酵食品に多い。特にK2は骨密度維持に重要で、骨粗鬆症予防や前立腺の健康維持にも関与するとされる。
納豆に「オートファジー」促す成分 骨折予防にも
出典:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXMZO07972010U6A001C1000000
