マイクロプラスチックは海や土壌、食品、水、空気などあらゆる環境に存在するが、人間の体内でどのように蓄積し影響を及ぼすのかは十分に理解されていない。
新しい研究は、これらの粒子が単に体を通過するのではなく、胆汁という見過ごされがちな体液に蓄積し、細胞レベルの損傷を引き起こす可能性を示した。
研究チームは手術患者14人から胆汁を採取し、複数の分析手法で粒子を調べた結果、全てのサンプルからマイクロプラスチックを検出し、主にPET(ポリエチレンテレフタレート)とPE(ポリエチレン)が多く、粒径は20〜50μmであった。特に胆石患者では蓄積量が多く、胆汁うっ滞や組成変化が滞留に関与している可能性が示唆された。
さらに、培養した胆管細胞を低用量のナノプラスチックに7日間曝露すると、ミトコンドリア機能障害、活性酸素の増加、ATP低下、細胞周期停止など老化の特徴が現れ、環境中のマイクロプラスチックが胆道の加齢を促す可能性が示された。
興味深いことに、抗酸化物質メラトニンがこれらの障害を部分的に回復させ、将来的な介入の手がかりとなる可能性も示された。
この研究は、胆汁が環境曝露評価の新たな指標となり得ること、ミトコンドリアへの負担が、すでに多くの薬の開発で注目されている仕組みと重なるため、この研究は環境汚染が健康に与える影響を理解したり、新しい治療法を考えたりするうえで大きな手がかりになる。
用語解説
【マイクロプラスチック】
マイクロプラスチックとは、5ミリ以下の極小サイズのプラスチック片のことで、海や川、土壌、食品、飲料水、空気中などあらゆる環境に広がっている。衣類の合成繊維、タイヤの摩耗、容器包装の破片など日常生活の多くが発生源となる。体内に入ると排出されることもあるが、一部は胆汁や血液などに蓄積する可能性が指摘されており、細胞の炎症やミトコンドリア機能障害など健康への影響が懸念されている。
Microplastics in Human Bile Drive Mitochondrial Dysfunction and Senescence
出典:Genetic Engineering & Biotechnology News
