京都大学・がん研究会らの研究チームは、老化細胞では本来酸性に保たれるリソソーム内部が中性化し、その結果リソソーム内に鉄が滞留してフェロトーシス(鉄依存性細胞死)が起こりにくくなる仕組みを解明した。
老化細胞は多量の鉄を保持し炎症を促進する一方で、なぜフェロトーシスに抵抗性を示すのかは不明だったが、V-ATPaseの機能低下によるリソソーム酸性度の喪失が原因であることが示された。
リソソームが中性化するとFe²⁺が内部に留まり、脂質過酸化反応が細胞全体に広がらず、細胞死が誘導されにくくなる。
さらに、リソソームを再び酸性化させる薬剤を投与すると老化細胞はフェロトーシスを起こしやすくなることも確認された。
また同様のリソソーム機能異常は膵臓がん細胞でも見られ、酸性化によって膵がんの発症や増殖を抑制できることがモデルマウスで示された。
これらの成果は、リソソームの酸性度制御が老化細胞やがん細胞を標的とする新たな治療戦略となる可能性を示すものであり、研究結果は2025年7月29日に「Nature Communications」に掲載された。
老化した細胞が鉄で死なない仕組みを解明〜リソソームの酸性度が細胞死の鍵を握る〜
出典:京都大学
