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冬眠の神経スイッチSamd3ニューロンを発見 老化・病気・ストレス治療を変える可能性

grizzly bear

冬眠は、動物が過酷な環境を生き延びるために進化させた強力な生存戦略であり、代謝や体温を大幅に下げながらも細胞の生存性とストレス耐性を保つ特異な状態である。

冬眠やトーパーに入る動物は、近縁種より寿命が長く、老化に伴う機能低下やがんなどの疾患にも強いことが知られているが、その仕組みは長らく謎だった。

MITのシニシャ・フルヴァティンは、この「時間のダイヤルを下げる」現象を解明し、人間の健康や老化研究に応用することを目指している。彼の研究チームはまず、マウスに人工的なトーパー様状態を誘導し、代謝低下・カロリー制限・体温低下のどれが健康改善に寄与するのかを分離して検証した。

その結果、最も強く老化指標を改善したのは体温の低下であり、深い低体温ほどエピジェネティック時計の若返りや虚弱度の改善が見られた。

さらに彼らは、自然の冬眠動物であるシリアンハムスターを調べ、視床下部前視索前野に存在するSamd3陽性ニューロンが深いトーパーへの移行を司る「神経スイッチ」であることを突き止めた。この細胞群は冬眠様状態を引き起こすために必要かつ十分であり、冬眠を制御する特定の神経集団が初めて明確に定義されたことになる。

今後は、冬眠しない哺乳類にも同様のニューロンが存在するのか、また刺激によって冬眠様状態を誘導できるのかが焦点となる。これらの仕組みを応用できれば、病気やけが、そして老化そのものへのアプローチを根本的に変える可能性があるとフルヴァティンは語っている。

用語解説

【トーパー】

トーパーは、動物が代謝と体温を一時的に大きく下げる「短時間の省エネ状態」を指す。冬眠と混同されがちだが、トーパーは数時間〜1日程度の短期的な生理反応で、季節性の長期サイクルである冬眠とは異なる。トーパー中、体温は大きく低下し、心拍や呼吸も極端に遅くなるが、必要に応じてすぐに通常状態へ戻れる柔軟性を持つ。マウスなど小型哺乳類が飢餓や寒冷に対応する際によく見られ、この状態は細胞のストレス耐性を高め、老化の進行を遅らせる可能性があるとして注目されている。

Chill Out and Live Longer: What Hibernating Animals Know About Longevity That We Don’t

出典:HHMI

https://www.hhmi.org/news/hibernation-aging-longevity-body-temperature

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