人間の平均寿命が約71年である現代において、100歳を超えるセンテナリアン、さらに110歳を超えるスーパーセンテナリアンは極めて稀な存在である。
Cell Pressに掲載された最新研究は、こうした超高齢者が加齢とともに増大するがんや病気のリスクをどのように回避しているのか、その一端を明らかにしている。研究によれば、彼らの体内では通常は非常に少ない細胞傷害性CD4 T細胞(CD4 CTL)が顕著に増加しており、これが長寿の鍵となっている可能性がある。
CD4細胞は本来ヘルパーT細胞として免疫を調整する役割を担うが、稀にキラー細胞へと分化することがある。通常、このCD4 CTLは人間の体内でほとんど見られない。しかし研究チームが日本人28名の血液を分析したところ、70〜90代では中央値4%だったCD4 CTLが、100歳前後では9.6%、スーパーセンテナリアンでは17.6%にまで増えていた。中には100歳未満でありながら最も高い割合を示す例外も存在し、これらの細胞は疲弊の兆候を示さず活発に働いていた。
研究者らは、ヘルパーT細胞がCD27とCD28というタンパク質を失うことでCD4 CTLへと変化することを突き止めた。さらに、キラーT細胞が免疫攻撃に応じて自らを複製し“軍隊”を形成する現象が高齢者の血液でも確認され、平均で33%、あるセンテナリアンでは約半数が単一の元細胞から複製されたクローンだった。これは、超高齢期には異常細胞やがん細胞が増えるため、免疫系がそれに適応し強化されている可能性を示している。
研究を主導した大阪大学の免疫学者橋本浩介は、「免疫の老化は単なる衰退ではなく、加齢に伴う脅威に対して適応し続けるプロセスである」と述べる。老化細胞やがん細胞が増える中で、CD4 CTLの選択的増加は、スーパーセンテナリアンが免疫の脅威を乗り越え、卓越した長寿を達成する一因となっている可能性が高い。研究は、免疫系が極めて高齢になってもなお柔軟に進化し続けることを示す重要な証拠となっている。
People Who Live Past 100 Have a Surprising Abundance of Cancer-Killing Immune Cells
出典:sciencealert
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用語解説
【キラーT細胞】
キラーT細胞(細胞傷害性T細胞)は、体内の異常細胞を直接破壊する免疫細胞である。ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を標的として認識し、攻撃物質を放出して確実に排除する。免疫防御の中心的役割を担い、主にCD8陽性T細胞が該当する。標的を見つけると迅速に反応し、体内の安全を維持するために働く。
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